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崖の上で相撲 [男の手芸]

<また山道です>
子ポポ:アダモおじさん、怖いね。
アダモ:寒いしな。何、もうすこしで峠に出る。ひがあたりゃ、
  ポッカポカだぜ。
<おおいぬ、白とボンボンが道をふさぐ>

kowaiyo.jpg
bonbon.jpgボンボン

ボンボン:おい、ここをどこだと思っている。オレたちの縄張りを
  勝手に通るとはふてえやつだ。
白:痛い目にあいたくなかったら、オレたちと相撲を取れ。
アダモ:なんだ、山賊かと思ったら、お相撲さんとは、・・
子ポポ:びっくりだね。いいよ、取ってあげる。
ボンボン:こいつ、ちびのくせに生意気だな。
子ポポ:あっ。ちびって言ったね。それ差別用語だから。
  いけないんだから。
ボンボン:知るか。いいか、知って驚くなよ。オレたちは負け知らず、連戦連勝だ。
アダモ:へえー、で、相撲はどこでやるのかな。
白:この先に崖がある。
子ポポ:崖なんて危ないよ。野原にしなよ、ひっくり返ってもいたくないしさ。
ボンボン:こいつ、相撲は遊びじゃないんだよ。
白:負けた方が、がけから飛び降りる。命がけでやる、それが俺たちのやり方なのさ。
子ポポ:アダモおじさん、どうしよう。ここでケガしたら、
  お母さん探せなくなっちゃう。
アダモ:なんとか、ここは勘弁してもらえまいか。この子の母親を、
  探さねばならんのです。
ボンボン:母親なんか、オレたちだってしりゃしねえ。甘いこと言ってんじゃねえぞ。
白:俺たちはこの山に捨てられて、ずっと助け合って生きてきた。
  まだ目も開いていない子犬のうちにな。
子ポポ:カワイそー。じゃあ、わかった、取ってあげる。崖でもどこでも取ってあげるよ。
  気が済むようにしなよ。 
アダモ:おめえー、すっげえ度胸だな。オレは・・知らんぞ。
taiketukopopo.jpg
<崖に来ました。下は絶壁、深い川が流れています>
アダモ:はっけよい、のこった。
<子ポポがボンボンの後ろに回ります>
ボンボン:くそ、どこ行った?
子ポポ:へえい、こっちこっち。
ボンボン:逃げるなんてひきょうだぞ。
子ポポ:じゃあ捕まえてみれば?
ボンボン:よーし、待ってろよ。やっ、こりゃ、なにっ、こいつっ、くそっ、まてっ
  ふー、なんて速いんだ。えいっ、ありゃっ、もうっ!
  あんちゃん、これじゃあ、いつまでたっても勝負にならねえよ。交代だ。
<白が代わって土俵に入ります>
アダモ:子ポポ、オレたちも代わろうか。
子ポポ:えー、大丈夫?
アダモ:だいじょうぶ、ちょっと秘策がある。
子ポポ:秘策って?
アダモ:耳かしな。こちょこちょこちょ。
こぽぽ:ええーっ!?
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白:見くびられたもんだ、こんな爺さんに負けるはずないだろう。
アダモ:言ってくれたな、爺さんでも、まだまだいけるってことよ。
<子ポポが行司で、白とアダモの戦いが始まる。アダモの秘策とはなに?>
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鹿食堂 [男の手芸]

<オイノリさんと別れたアダモと子ポポ>
子ポポ:晴れかな、雨かな。晴れかな、雨かな。
アダモ:さっきからそればっかし言ってるが、雨なんか降りそうにもないぞ。
子ポポ:そうじゃないよ、おいなりさんのおまじない。
アダモ:おいなりじゃないだろ。
子ポポ:へへ、そうだった。オイノリさんだね。ぼくに教えてくれたんだよ。
  苦しいときは、これを言えばつらくないって。
アダモ:へえー、いつの間に。オレは知らんぞ。
子ポポ:昼寝してたじゃないか、枯草の上で。気持ちいいとか言っちゃって。
アダモ:ああ、そうか。
子ポポ:晴れかな、雨かな。晴れかな、雨かな。
アダモ:晴れかな? 雨かな?みょうだな・・確かにオレも聞いたような、だが・・。
子ポポ:晴れかな、雨かな。晴れかな、雨かな。
アダモ:わかった、そりゃちがうぜ、子ポポ。晴れかな、じゃない。ハレ・ルヤ、だ。
子ポポ:ハレルヤ、ハレルヤ。うん、そうだった。ハレルヤ、ハレルヤ。
  これどういう意味なの?
アダモ:うーん、バンザイとか、喜びの言葉らしい。とすると、「雨かな」は・・
  そうだ、きっと「アーメン」だ。
  そっ、ハレルヤ、アーメン。ハレルヤ、アーメン。  
  これがオイノリさんのおまじないだ。それをお前に教えてくれたんだな。
子ポポ:へえー、そうか。おじさんありがとう。ぼくよくわからなかったんだ。
  もう大丈夫だね。ハレルヤ、ラーメン。ハレルヤ、ラーメン。
アダモ:ラーメンだと? お前ふざけてんのか? まッ、いいか。
  アーメンの意味はわしもよくわからんしな。
P1010003.JPG
<シカ食堂の前>
子ポポ:ラーメンの話してたからおなかすいちゃったよ。
アダモ:お前、バチ当たるぞ、アーメンだ。おう、シカ食堂か。
  シカの肉料理でも出すのかな。
シカの親子:いらっしゃいませ。
アダモ:ゲッ、ほんとのシカだよ。
母しか:何を驚かれてますの?
アダモ:いや、なにも。そのシカ食堂って書いてあったから、
  わしゃ、てっきり、・・ポポのパパさんの無茶ぶりにはあきれるよ。
<ズーズー、ちゅるちゅる。ラーメンをすする音。>
アダモ:ごくごく・・アーうまかった。
子ポポ:ぼくもうおなかいっぱいだよ。
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母しか:感心だね、お母さん探してるんだって?リスさんたちに聞いたよ。
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アルパカ:ぼくも聞いたよ。アルパカ牧場の仲間にも聞いてみたけど、
  みんな知らなかった。
アダモ:きみは牧場を飛び出してきたのかい?
母しか:しょっちゅうなんですよ。うちのシカオと遊びたくって。
アルパカ:(シカオに)気が合うんだよね。
シカオ:うん。今日も遊べる?
アルパカ:あそぼ、あそぼ。
子ポポ:ぼくも入れてくれるかな。
アルパカ:もちろん。シカオちゃんも、出てきなよ。
<というわけで、子ポポも久しぶりに遊びました。>




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