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ポンポン城 [ポンポン王国]

<城>
アダモ:あれだな。
子ポポ:ワクワクするね。
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<城の前に警備隊が待っていた>
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<警備隊長>
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警備隊長:お待ちなさい、シャイン王子。王に対する反逆の疑いで逮捕命令が
   出ております。
シャイン:お妃の命令か?はじめから覚悟の上での入城じゃ。抵抗はせぬ。
   遠慮なく逮捕いたせ。
隊長:はは、恐縮でございます。
アダモ:おれ達はどうなります?
隊長:もちろん、ご同行願う。城に入るのであればの話だが。
シャイン:お二人はここで先に行きなさい。お母さんを探さなきゃならないん
   でしょう?私たちにかかわってる場合ではないでしょう。
子ポポ:アダモおじさん、いっしょに行こうよ。シャインさんの役に立てる
   かもしれないし。
アダモ:子ポポ、お前、ほんとに勇気あるなあ、感心するぜ。よし、行こう。
  王子、命の恩人をここで見捨てちゃ、アダモ、男がすたります。
  ぜひ、ご一緒させてくださ い。
ジイ:なかなか見上げた心意気ですな。王子、どういたしますか?
シャイン:アダモさんと子ポポさんのお気持ち、大変ありがたい。ですが、・・・
アダモ:いいってことよ。急ぐ旅じゃないんだから、オレたちの勝手にさせてください。
子ポポ:うん、いいってことよ!(笑い)
<宮中>
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アダモ:子ポポ、あのまっかっかなのが女王か? ちょっとおっかない感じだが。
子ポポ:カーリー様っていうんだって。おじさん、失礼のないようにね。
アダモ:おれの苦手なタイプなんだよな。
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女王カーリー:みなの者に告げる。王様はご危篤にあられます。それゆえ、
   後継ぎの王子を今のうちに決めておきたいという、仰せです。
   シャイン王子、リンシー王子、前に出なさい。
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リンシー:ぼくは王になんかなりたいと思わない。兄さんがいいじゃないか。
カーリー:おだまりなさい、リンシー。あなたが決めることではないのです。
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シャイン:わたしも同じです。 争っても王になりたいとは思わない。
   この国が平和であるなら、だれが王になってもかまいません。
カーリー:ふん、あなた、そんなきれいごと言って。もし王になったら、
   私達を追い出すに決まってるわ。
シャイン:私を信じてらっしゃらないのですね。ならば私はこの国を
   出ていきます。
カーリー:まあ、ほんと? じゃあそうなさい。リンシーこれで決まりよ、次の王は
  あなたに決定!
<おやおや、これでほんとうに決まってしまうんでしょうか>


 
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なぞなぞ [ポンポン王国]

<バタバタバタバタとやってきたのは>
伝書フクロウ
フクロウ:フクロウ便だよー。王様からの言伝だよ。
女王:なによ、いきなり。今いいとこなのに。
フクロウ:一同、心して王様のお言葉を聞かれますように。
女王:もったいぶって、なんなのフクロウ。
フクロウ:なぞなぞです。正解した方が王の跡継ぎになれるのです。
女王:なぞなぞですって!王様のお遊びにつきあっている暇はございません。
フクロウ:どうぞ、お好きなように。ではなぞなぞ、
   いつも違うのに、いつも同じものってなあに。
   いつも違うのに、いつも同じものってなあに。
   じゃあ、伝えたよ、
   明日の昼に発表だって。ではっ。(バタバタバタバタ)
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アダモ:いつも違うのに、いつも同じものってなあに。
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こぽぽ:いつも違うのに、いつも同じものってなあに。そんなのあるのかなあ。
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女王:バカらしい、つきあってなんかいられやしない。
  いつも違うのに、いつも同じものってなあに? なにそれっ!
  ああ、頭がどうかしそうだわ。リンシー、部屋に戻りましょう。
<地下牢>
アダモ:いつも違うのに、いつも同じものってなあに、か。こりゃ、難しいぞ。
子ポポ:違うってことは同じじゃないってことだよね。変じゃない?
アダモ:ヘンだ。王様の頭がおかしいんじゃないのか?
家老ジイ
ジイ:これ、なんということをおっしゃる。
アダモ:こりゃ失礼。だけどね、これ、答えられない場合、オレたちどうなるわけ?
  一生、こんな牢屋にいなくちゃなんないのかな?
シャイン王子
シャイン:すまない、私にかかわったばかりに、こんな思いをさせてしまった。
アダモ:いいんですよ。私の命の恩人じゃないですか。それより、みんなで
  考えましょうよ。いつも違うのに、いつも同じものってなあに、ってやつをね。
ジイ:わしはなぞなぞは苦手でな。
子ポポ:だいじょうぶ、きっと見つかるよ。ねえ、王様が好きなことってなあに?
  きっと、その中に答えがあると思うんだけど。
ジイ:王様の好きなことね、・・
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ハール王 [ポンポン王国]

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<楽隊登場>
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楽隊:皆さん、王様の、お出ましだよ。ポンポン王国の王様の、お出ましだよ。
  ハール王のお出ましだよ。
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ハール王:やあ皆さん。約束の刻限です。なぞなぞの答えは見つかりましたかな。
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カーリー女王:ええ、あなたのなぞなぞなど簡単でしたわ。
王:おや、そうかね、で、答えは?
女王:ずばり、わたくし自身でございますわ。
王:なんと?そのこころは?
女王:毎日のドレスは違っても、きている私の美しさは同じですもの。
王:確かに、毎日ドレスをとっかえひっかえしているが、そなたのみばえは同じじゃのう。
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アダモ:はっはっは、なかなかうまいぞ、王様。
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子ポポ:しいい。しつれいですよ。
女王:なんです、王様、違いますの?これ以外に、答えなんかありゃしませんよ。
  リンシー、何とかおっしゃい。あなたも答える権利があるのですよ。
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リンシー:私は、・・きっと間違っているとは思いますが、・・
王:ああ、リンシー、ぜひ、かしこいお前の答えが聞きたい。
リンシー:では、申し上げます。水、ではないかと。
王:水?さて、そのこころは?
リンシー:水は氷になったり、雨や、雪や、雲になったりします。でも、元はみな
  水なのではないでしょうか。
王:ああ、リンシー、さすがじゃ。素晴らしい、気に入った。
女王:では王様、リンシーを後継ぎにしてくだいますか?
王:まあ、待ちなさい、まだシャインの答えをきいとらん。シャイン、どうだ。
  お前は何か考えついたか? なければ、リンシーに決まってしまうが。
シャイン王子
シャイン:それなら、それで結構です。
リンシー:とんでもありません、兄上こそ王にふさわしい方、わたくしなど
  及びもつきません。
女王:リンシー、お前は欲がない子ねえ。
王:シャイン、どうじゃ、なにも考えつかんのか。
<シャイン王子、突然、泣きだしました。何があったのでしょう?>

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シャインの涙 [ポンポン王国]

子ポポ:シャイン王子、どうしちゃったのかなあ?
アダモ:しーっ!
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ハール王:(何度もうなづいて)そうか、そうか、わかってくれたんだね。思い出したんだね。
  わしはうれしい。さあ、みんな、シャインの答えを聞いてやってくれ。
シャイン王子
シャイン:答えは月です。お月さまです。父が、いや、王様が、母と三人でお月見したときに
  教えてくれたことです。毎日、月は形を変える。満月から、半月へ、そして三日月へ。
  そしてまた半月になって、満月になる。でも、実はいつも月は同じで、2匹のウサギが
 モチをついているのだ、と。
王:そうだ、なつかしいな。よく思い出してくれたシャイン。
  わしは、母を亡くして悲しんでいるお前の気持ちを察せずに、さっさと結婚しちまった。
  すまなかった、許せ。
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女王:でも王様。これじゃ、この謎、リンシーには不公平ですわ。私たちにわかるはずも
  ありませんもの。
王:すまん。わしはシャインが思い出してくれるかどうか知りたかっただけなのだ。
  あの楽しかった思い出を。国は平和が何よりじゃ。争っておさまるものではない。
シャイン:2匹のウサギは私とリンシーです。父上、二人で協力して国を治めます。
王:うん、よく言った。それでこそ王子。リンシー、どうじゃな。
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リンシー:兄上に協力させていただけるとは、これ以上うれしいことはありません、王様。 
王:うれしいぞ、リンシー。ああ、病気も治ってしまいそうなくらいうれしいぞ。
  お妃、どうじゃな、こんなうれしいことはあるまい。
女王:はい、王様にはまいりましたわ。私の考えが狭かったようですね。
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子ポポ:やったね、アダモおじさん。
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アダモ:ああ、感動しちゃったよ。家族っていいもんだな。(クスン)
  子ポポ、オレたちも旅を続けなきゃな。お前の母さんを探しにな。
子ポポ:そうだね。そうだ、ハレルヤ、ハレルヤだよ、アダモおじさん。
おだも:ああ、そうだ。感謝しなきゃな。ハレルヤ、ハレルヤ、そしてアーメン。
  そうだ、王様、私のなぞなぞの答えを聞いてくれませんか。
王:おや、なんでしょう。ぜひ、聞かせてください。
アダモ:私の答えは、夢、ですよ。毎晩、見る夢は違いますが、皆、夢のまた夢。
  現実ではありません。みな夢であることには変わりはないのです。
王:あなた、詩人ですね。ステキな答えです。
<二人はまた旅に出ます。ポンポン王国、さようなら!!>

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峠道で [猫村]

<峠道を上っていきます>
アダモ:なかなかきついなこの山は。
子ポポ:もうすぐ峠です。がんばりましょう。
<空がきゅうに暗くなりました。大変です、雪が降ってきました。>
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こぽぽ:おじさん、吹雪になっちゃったね。前が見えないよ。
アダモ:子ポポ、離れるなよ、こんなところで死んじまっちゃ、つまらねえ。
子ポポ:おじさん、なに握ってんの!それ、私のしっぽでしょ!
アダモ:あ、お前のしっぽか。悪かった。
  なんかフワフワしてあったかそうだったもんで、つい。
子ポポ:とにかく、どこかへ避難しなくっちゃ。
アダモ:どこかいい岩陰でもあればな。
<二人とも歩けず木の根元で休んでいます>
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子ポポ:おじさん、ぼく眠い。ひどく眠いんだ。
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アダモ:バカ、寝たら死んでしまうぞ。かしてみろ。(子ポポの手を取る)
  マッサージしてやるからな、大丈夫、血の流れがよくなれば、また歩けるからな。
子ポポ:ぼくもう歩きたくない。疲れちゃったよ。
アダモ:何言ってるんだ。お母さんに会いたいんだろう。
  ここまで来て泣き言を言うな。
子ポポ:でも、母さん、いるのかな。会えるのかな。
  なんかおじさんの声が遠くなってきたんだけど‥
アダモ:バカ、会えるに決まってる。オレがついてるだろ。
  まだ死ぬのは早いぞ。
<アダモおじさん、子ポポの顔をぺろぺろなめだしました>
子ポポ:あ、お母さん。お母さん、きてくれたんだね。
アダモ:こいつ、おれだ、しっかりしろ。
子ポポ:お母さんじゃないのか。おじさんか。どうりで臭いと思ったよ。
アダモ:もっとなめてやろうか。(ペロペロ)
子ポポ:やめてよ、気持ち悪いよ。わかったよ。おきるよ。もうやめて・・
<と言いつつも、子ポポの目が閉じてしまう>
アダモ:寝るな、(ゆすぶって)寝るな。ほら忘れたか。
  ハレルヤ、ハレルヤ、ハレルヤだろう、忘れたか。
  オイノリさんがい言ってたんだろう。苦しいときには祈るんだって。
  ハレルヤ、ほら、ハレルヤだ。ハレルヤ、ハレルヤ、ほら!
子ポポ:おじさん、アーメンわすれてるよ。
アダモ:ああ、そうだった。そうそう、ハレルヤ、アーメン。ハレルヤ、アーメンだ。
  いっしょに祈ろう。
二人:ハレルヤ、アーメン。ハレルヤ、アーメン。ハレルヤ、アーメン。

<突然、雪な中から何かが現れました>
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グぁー!
アダモ:うわ!出たっ! もうだめだ! 助けてください、命だけはご勘弁を。
  ハレルヤ、ハレルヤ、ハレルヤ
クウちゃん:だいじょうぶ、食べやしないよ。もう食べ物は十分あるから。
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ウーちゃん:クーちゃんはやさしいクマさんだから、こわがらなくていいよ。私は
  クーちゃんの友達のウーちゃん。いっしょにクーちゃんのうちへ来てあったまりなよ。
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子ポポ:おじさん、助かったんだよ。よかったね。もう大丈夫だよ。
アダモ:こんなところで、まさか助けてもらえるとは、こりゃ全くありがたい。
  ハレルヤ、ハレルヤ!ハレルヤ、アーメン!
クーちゃん:今夜は大雪になるべさ。おらの穴で一晩とまってけや。
ウーちゃん:それがいい。みんないっしょに、今夜は過ごしましょう。
アダモ:よかったな子ポポ。
子ポポ:うん。
<クーちゃんのねぐらってあったかそうですね>
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クーちゃんのねぐら [猫村]


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<クーちゃんのねぐらです。母親探しの旅だと聞かされ>
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ウーちゃん:クーちゃん、猫村に犬さんがやってきたってうわさ、あったよね。
   猫村に犬なんて、ヘンだとは思ったんだけど。もしかして・・
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クーちゃん:うん、そうだな、何か関係あるかもな。詳しいことはわからないけどな。
   この先の山奥に、猫村っちゅう集落があるのよ。
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アダモ:猫村?
クーちゃん:今年はひどいききんでな、食いものにも困るほどだったそうだ。そうしたら、
   はやり病が広がってな。もう村は地獄だったらしい。
ウーちゃん:疫病ね。ひどかったんだって。
クーちゃん:それがピタッとおさまったちゅうんだな。よそから来た犬さんに、
   神頼みしてもらったんだとよ。おかげで、ムラは助かったそうだ。
   それまではやっていた病気がウソのように消えたんだとよ。
ウーちゃん:だから、みんなその犬さんのことを「お救いさん」って呼んでるんだって。
アダモ:おすくいさん?
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子ポポ:アダモおじさん、行ってみようよ、その猫村ってとこ。お救いさんに会ってみよう。
アダモ:お救いさんが、お前のお母さんとは限らんぞ。それでもいいか。
子ポポ:うん、行ってみたい。会ってみたい。
アダモ:行くしかないか。ここまで来たんだもんな。いけるところまで行ってみよう。
子ポポ:いけるとこまで行ってみよう。

<外の雪はやんだのでしょうか?山は静かになりました>
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猫村 [猫村]

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<猫村に入るアダモと子ポポ>
ーお待ちください。
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ミーコ:私たちは、ムラの警備のものですが、この先は猫村で行き止まりです。
   どこへ行かれるのかわかりませんが、その先は道がないのです。
子ポポ:その猫村に行くんだよ、ボクたち。
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ミーコ:もしかして、あなた方は、お救いさん、いえ、ポポさんの
   お身内のかたではありませんか。
子ポポ:そう。そのポポさんって、ボクのお母さんかもしれないんだ。
ミーコ:お母さん? ポポさんが? つまり、あなたがポポさんのお子さん?。
アダモ:それを確かめに来たんですよ。
ミーコ:ちょっと失礼。(子ポポの胸のあたりをかぐ)ふん、ふん。(こんどは
   後ろに回っておしりのあたりをかぐ)ふん、ふん、確かに。
   ポポさんと同じ匂い、まちがいありませんね。
子ポポ:アダモおじさん、まちがいなさそうだよ・・
アダモ:ああ、そうらしい。よかったな、子ポポ、やっと会えるぞ。
ミーコ:実は、村のババ様に、ポポさんを訪ねてくる方があるから、ご案内する
   ように言われておりました。
アダモ:ババ様とはどなたですか?
ミーコ:村の長老です。ポポ様をお招きしたのもババ様です。私が命じられて、
   探し当て、この村にお招きしたのです。
アダモ:この村へ、ポポさんを招いたと?いったい、なぜ、ポポさんを?
ミーコ:この村を救うためです。緊急事態だったのです。
子ポポ:それでお母さん、すぐに出発したんだね。
アダモ:大変な用事だったと見える。子供を置いて、行っちゃたんだからな。
ミーコ:村のためにつらい思いをさせてしまったんですね。申しわけありません
   でした。詳しいことは村で。では、こちらへ。
子ポポ:お母さん、びっくりするかな、アダモおじさん?
アダモ:ああ、びっくりだ。
ミーコ:・・

<子ポポはお母さんに会えるので、もう、うれしくってたまりません。>   

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猫バー [猫村]

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<やぐらの前にて>
猫バー:わしが猫バーじゃ。断っておくが、ババネコでも、ネコババでもない
   からな。
アダモ:猫ばあさん、ですね。
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猫バー:ネコばあさんじゃないぞ。猫バー。猫バーでいいのじゃ。
アダモ:妙にこだわるんだね。どっちでもいいと思うけど。
猫バー:そうはいかん。かみの毛を見てもわかるとおり、わしはライオンでは
   ない。
子ポポ:そうだね。でもすごい髪の毛だね。
猫バー:おや、お若いのありがとよ。もう何十年生きとるのか自分でも
   わからんのじゃ。だが、おかげで不思議な力を与えられた。
   このたび、お救いさんを頼んだのもわしだし、お前さん方が、
   何しにこの村へやってきたのかもわかっておる。
子ポポ:すごいね、神様みたい。
猫バー:バカ言うな。もったいない。わしはただの年より猫じゃ。ただ、
   長生きしたおかげで、神様から知恵を授かったのじゃ。
子ポポ:猫バー、私たちがここへ来たのはね、
猫バー:待て、みなまで言うな。わかっておる。お母さんを探しに来たん
   じゃろ? つまり、ポポさんのことじゃな。村のお救いさんじゃ。
アダモ:じゃ、やっぱりそうなんですね。で、どこにいるんです。呼んできて
   もらえませんかね?
   親子の対面ってのを、ぜひ、お願いしたいんですがね。
猫バー:それがナ・・
アダモ:それがなあって、まさかどっか行っちゃったんじゃないでしょね?
猫バー:それがな・・そのまさかなんじゃ。
こぽぽ:ええっー!
アダモ:でもお救いさんとか言って。いるんじゃないんですか?ダメですよ、
   隠したって。
猫バー:隠しやせん。そうじゃ、お救いさんとは、お前さんのお母さんの
   ことじゃ。あの方のおかげでこの村は救われたんじゃ。
   この村がききんと、はやり病で滅びかけていたのを救ってくれたん
   じゃよ。
アダモ:じゃ、ポポさんは、いったい、今どこにいるんです?
猫バー:あっちじゃ。(やぐらの先の空をさす)
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子ポポ:あっちって、あのてっぺんの?空しか見えないけど、猫バーさん。
猫バー:そうじゃ。空じゃ。
子ポポ:えーっ!?
アダモ:まさか、死んじゃって…
猫バー:死んではおらん。生きとるが、・・・
アダモ:空の上じゃ天国ってことでしょ! そりゃ死んじゃったってことで
   しょうよ。
猫バー:死んではおらんのじゃ。
アダモ:もうわけわからんですよ。いったいどういうことなんですか!?

<子ポポはもう大声で泣きだしました?>
ーうええーっん、うええーっん、うええーっん ・・・
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お救いいぬポポ [猫村]

猫バー:ポポさんは、お救いいぬの一族なんじゃ。お救いいぬというのはな、
   オオカミの血を引く一族で、昔っから、この村の守り神じゃ。
   この夏は、日照りで村はききんに苦しんだ。おまけに疫病が広まっての。
   もう地獄じゃった。それでわしが占って、お救いいぬのポポさんを探さ
   せ、呼びにやらせたのじゃ。
   ポポさんはすぐに来てくれた。そう、まだ小さな子がいたというのにな。
   (子ポポに)あんたのことじゃな。かわいそうだったが、仕方がなかった
   のじゃ。
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   ポポさんは、この村に矢のように走ってきた。そして、わしらの頼みを
   聞くと一気にこのやぐらを上った。
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アダモ:えっ!このやぐらを!?
子ポポ:お母さんが!?
猫バー:そうじゃ、お母さんはお救いいぬの仕事をちゃんと心得ていてな。
   わしらは下で、しきたりにしたがって、火をつけるのじゃ。
アダモ:火をつけるって!?
猫バー:お救いさんがやぐらに駆け上がった後、山積みしたたきぎを燃やすの
   じゃ。
子ポポ:そんなことしたら、焼け死んじゃうよ。
猫バー:そうではない。お救いさんは、迷わず、天をめざすことができるの
   じゃ。それでこそ、神様に会えるのじゃ。
アダモ:そりゃア・・ひどい、あんまりだ。
子ポポ:そうだよ、かわいそうだよ。
猫バー:そうしなかったら、村は救われんのよ。
アダモ:なんだ、おとなしく聞いてれば、お前たち、村を助けにやってきた
   ポポさんを、いけにえにしちゃったってことだよな。なんてことだ。
   ヒト殺し、いや、イヌ殺しの猫どもめ。
猫バー:いや、ちがう! アダモさん、子ポポちゃん、殺してはおらん。
   確かにポポさんは天に上ったのじゃ。そして、神様にこの村をすくう
   ようにたのんでくれたのじゃ。
   おかげで村は助かった。ポポさんは生きておるのだよ。それは間違い
   ない。
   そうじゃ、これをポポさんから預かっておる。
<小さな鈴を子ポポに渡す>
子ポポ:<振ってみる。リンリン、リンリン。リンリン、リンリン>
   これは、お母さんがつけていた鈴!私の体をなめてくれた時、
   いっしょに走った時、いつも鳴っていた音。なつかしい! 
猫バー:そうじゃ。これをあんたに渡してほしいってのう。そう言って、
   上っていったんじゃ。
   子ポポちゃんが鳴らすの鈴の音を、天のポポさんも今、聞いているぞ。
子ポポ:じゃあ、ほんとにお母さん生きているんだね、猫バーさん。
   会いたいよ。アダモおじさん、子ポポもお母さんのところへ
   行きたい。
アダモ:なっ、なに一っ!?
<さてさて、アダモおじさん、困っちゃいましたね>

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アダモのひ・み・つ [猫村]

<泣きじゃくる子ポポを前に、困ってしまうアダモです>
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アダモ:泣くんじゃないっ!子ポポっ!お前何を言ってるのかわかってない
   だろう!ポポさんのところへ行くってことは、死ぬってことなんだ。
猫バー:いや、いや、そうではないのだアダモさん。
アダモ:いいや、だまされませんぞ。オレたちが上った後で、また、
   火をつけるに決まってラー。
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猫バー:そりゃ、そうしないと天へはいけませんから、つけますよ。
アダモ:ほらな、聞いたか子ポポ。こいつら、オレたちのことも丸焼きにする
   つもりなんだよ。それで、証拠隠滅だ。村は安泰だ。そうだろ、猫バー!
   こんなインチキバーさんに、だまされてたまるかってんだ。
猫バー:インチキ! たわけたことを、ではここであんたの秘密を子ポポさんに
   暴露してもよいかな、アダモさん。
子ポポ:秘密ってなあに。知りたい知りたい!アダモおじさんの秘密って
   何だろう。
アダモ:お前、急に元気になりやがって。猫バー、オレの秘密だと?
   そんなのこわくはねーや、勝手に言ってみろ。どうせ、オレの苦手は
   ピーマンだとかいうんだろ?
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子ポポ:アダモ、ピーマン嫌いだったっけ?
アダモ:えっ、まあ、な。それがどうした?
猫バー:そんなこっちゃない。お前さんが、実は子ポポちゃんの・・
アダモ:たっー、たっ、たっ、たっ、たっ、たっー。そこまで、あぶねえ、
   あぶねえ。それかよ。それでしたか。まさか、それとは。ばばあ、
   いや、猫バーさん、なんで、なんでそのこと知ってるの? ですか?
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猫バー:言ってもいいのか?わしがインチキではないという証拠を見せたい
   だけなのじゃが。
アダモ:わかりました。わかりました。インチキだなんて言いません。
   言いませんよ。
子ポポ:知りたい、知りたい!アダモの秘密。おせーて、おせーて猫バー。
アダモ:かんべんしてくださいよ。
子ポポ:おせーて、おせーて、おせーて、猫バー。
アダモ:いい加減にしろよ、子ポポ!
猫バー:まあ、わかってもらえばいいんじゃ。子ぽぽちゃん、あとでわかる
   じゃろ。それまでの楽しみにしておきなされ。
子ポポ:なーんだ、つまんないの。
アダモ:ありがたい、猫バーさん。
猫バー:猫バーだ、っちゅうの。
子ポポ:でも、行くんでしょ、お母さんのところへ?
アダモ:おめえ、どうしてもか?
子ポポ:うん、どうしても行く!
アダモ:途中で、やめたなんて言わないな?
子ポポ:言わない、言わない、絶対言わない。
アダモ:ほんとうだな?
子ポポ:ほんとう。嘘じゃないよ、アダモおじさん。
猫バー:行くしかないようじゃな、アダモさん。
アダモ:…もし、失敗したら、二人とも焼け死んでしまうぞ。
子ポポ:うん、いいよ、死んでもいい、死んでも会いたい。
アダモ:よーし、よく言った。その覚悟があれば、いけるかもしんねえ。
   おじさん、お前につきあうぞ。死ぬときはいっしょだ。
<とうとう決心をしましたね。でも、アダモの秘密って、なんでしょね>   

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