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隠れ家 [ポンポン王国]

<心配する子ポポ>
看病子ポポ
<気が付くアダモ>
気が付くアダモ
子ポポの顔が目の前に
アダモ:うわっ!なんだ、お前か!
子ポポ:気がついたね、アダモおじさん。やったあ!
ここはどこ?
王子シャイン:おお、よかったね。アダモさん、子ポポさんがずっと心配してましたよ。
 もう三日 も眠っていたんですから。
シャイン王子
アダモ:三日? 道理で腹減った。ありがとよ、子ポポ。で、ここはどこなんだ?
シャイン:私の隠れ家です。
アダモ:隠れ家って、あんたは一体・・
家老ジイ
家老のジイ:ポンポン王国の王子じゃ。
アダモ:ポンポン王国?
ジイ:ポンポン族の王国じゃ。
子ポポ:で、このおじさんは家老さんだって。えらいんだってよ。
アダモ:へー、そらお見それしやした。で、かろうってなに?  
子ポポ:そんなことはいいから、お礼言わなくっちゃ、おぼれるところを助けて
  もらったんだから。
シャインとジイ
アダモ:そうだな。まったくお礼の言いようもありゃしません。感謝感激でさ。
シャイン:ちょうど船で通りかかったんです。ここへ来る途中でね。
ジー:運がいいんだよ、二人とも。そうじゃなきゃ、二人とも今頃は・・
<そこへフクロウが飛び込んでくる>
伝書フクロウ
フクロウ:ホー、ホー、フクロウ便だよ。
シャイン:やっ!お前は父の伝書フクロウ、父の身に何か変わったことでも?
フクロウ:そのとおり、王様が危篤です。すぐ城に戻ってください。
ジー:王子、これは、罠かもしれませんぞ。
  (アダモたちに)われらはわけあって城から逃げてきたのじゃ。
   わしらをとらえようとする連中が今は城を牛耳っているのでございます。
シャイン:もはや病気の父には、王としての実権がないのです。
アダモ:お母さんはいないのかね、その、女王様、がいるのでは?
シャイン:今の女王は、私の母ではない。
ジー:先のお妃さまは3年前に亡くなったのじゃ。今の女王さまは、
  ご自分の子、リンシー様を、王の跡継ぎにしようと画策しているのじゃ。 
アダモ:なるほど、お家騒動ってやつだな。
フクロウ:じゃ、とにかく伝えましたからね。私の任務はこれでおしまい。
   信じるも信じないも「あなたしだい」だよ! では、さらば。
 <バタバタバタ、音を立てて飛んでいった>

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ポンポン城 [ポンポン王国]

<城>
アダモ:あれだな。
子ポポ:ワクワクするね。
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<城の前に警備隊が待っていた>
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<警備隊長>
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警備隊長:お待ちなさい、シャイン王子。王に対する反逆の疑いで逮捕命令が
   出ております。
シャイン:お妃の命令か?はじめから覚悟の上での入城じゃ。抵抗はせぬ。
   遠慮なく逮捕いたせ。
隊長:はは、恐縮でございます。
アダモ:おれ達はどうなります?
隊長:もちろん、ご同行願う。城に入るのであればの話だが。
シャイン:お二人はここで先に行きなさい。お母さんを探さなきゃならないん
   でしょう?私たちにかかわってる場合ではないでしょう。
子ポポ:アダモおじさん、いっしょに行こうよ。シャインさんの役に立てる
   かもしれないし。
アダモ:子ポポ、お前、ほんとに勇気あるなあ、感心するぜ。よし、行こう。
  王子、命の恩人をここで見捨てちゃ、アダモ、男がすたります。
  ぜひ、ご一緒させてくださ い。
ジイ:なかなか見上げた心意気ですな。王子、どういたしますか?
シャイン:アダモさんと子ポポさんのお気持ち、大変ありがたい。ですが、・・・
アダモ:いいってことよ。急ぐ旅じゃないんだから、オレたちの勝手にさせてください。
子ポポ:うん、いいってことよ!(笑い)
<宮中>
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アダモ:子ポポ、あのまっかっかなのが女王か? ちょっとおっかない感じだが。
子ポポ:カーリー様っていうんだって。おじさん、失礼のないようにね。
アダモ:おれの苦手なタイプなんだよな。
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女王カーリー:みなの者に告げる。王様はご危篤にあられます。それゆえ、
   後継ぎの王子を今のうちに決めておきたいという、仰せです。
   シャイン王子、リンシー王子、前に出なさい。
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リンシー:ぼくは王になんかなりたいと思わない。兄さんがいいじゃないか。
カーリー:おだまりなさい、リンシー。あなたが決めることではないのです。
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シャイン:わたしも同じです。 争っても王になりたいとは思わない。
   この国が平和であるなら、だれが王になってもかまいません。
カーリー:ふん、あなた、そんなきれいごと言って。もし王になったら、
   私達を追い出すに決まってるわ。
シャイン:私を信じてらっしゃらないのですね。ならば私はこの国を
   出ていきます。
カーリー:まあ、ほんと? じゃあそうなさい。リンシーこれで決まりよ、次の王は
  あなたに決定!
<おやおや、これでほんとうに決まってしまうんでしょうか>


 
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なぞなぞ [ポンポン王国]

<バタバタバタバタとやってきたのは>
伝書フクロウ
フクロウ:フクロウ便だよー。王様からの言伝だよ。
女王:なによ、いきなり。今いいとこなのに。
フクロウ:一同、心して王様のお言葉を聞かれますように。
女王:もったいぶって、なんなのフクロウ。
フクロウ:なぞなぞです。正解した方が王の跡継ぎになれるのです。
女王:なぞなぞですって!王様のお遊びにつきあっている暇はございません。
フクロウ:どうぞ、お好きなように。ではなぞなぞ、
   いつも違うのに、いつも同じものってなあに。
   いつも違うのに、いつも同じものってなあに。
   じゃあ、伝えたよ、
   明日の昼に発表だって。ではっ。(バタバタバタバタ)
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アダモ:いつも違うのに、いつも同じものってなあに。
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こぽぽ:いつも違うのに、いつも同じものってなあに。そんなのあるのかなあ。
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女王:バカらしい、つきあってなんかいられやしない。
  いつも違うのに、いつも同じものってなあに? なにそれっ!
  ああ、頭がどうかしそうだわ。リンシー、部屋に戻りましょう。
<地下牢>
アダモ:いつも違うのに、いつも同じものってなあに、か。こりゃ、難しいぞ。
子ポポ:違うってことは同じじゃないってことだよね。変じゃない?
アダモ:ヘンだ。王様の頭がおかしいんじゃないのか?
家老ジイ
ジイ:これ、なんということをおっしゃる。
アダモ:こりゃ失礼。だけどね、これ、答えられない場合、オレたちどうなるわけ?
  一生、こんな牢屋にいなくちゃなんないのかな?
シャイン王子
シャイン:すまない、私にかかわったばかりに、こんな思いをさせてしまった。
アダモ:いいんですよ。私の命の恩人じゃないですか。それより、みんなで
  考えましょうよ。いつも違うのに、いつも同じものってなあに、ってやつをね。
ジイ:わしはなぞなぞは苦手でな。
子ポポ:だいじょうぶ、きっと見つかるよ。ねえ、王様が好きなことってなあに?
  きっと、その中に答えがあると思うんだけど。
ジイ:王様の好きなことね、・・
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ハール王 [ポンポン王国]

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<楽隊登場>
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楽隊:皆さん、王様の、お出ましだよ。ポンポン王国の王様の、お出ましだよ。
  ハール王のお出ましだよ。
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ハール王:やあ皆さん。約束の刻限です。なぞなぞの答えは見つかりましたかな。
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カーリー女王:ええ、あなたのなぞなぞなど簡単でしたわ。
王:おや、そうかね、で、答えは?
女王:ずばり、わたくし自身でございますわ。
王:なんと?そのこころは?
女王:毎日のドレスは違っても、きている私の美しさは同じですもの。
王:確かに、毎日ドレスをとっかえひっかえしているが、そなたのみばえは同じじゃのう。
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アダモ:はっはっは、なかなかうまいぞ、王様。
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子ポポ:しいい。しつれいですよ。
女王:なんです、王様、違いますの?これ以外に、答えなんかありゃしませんよ。
  リンシー、何とかおっしゃい。あなたも答える権利があるのですよ。
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リンシー:私は、・・きっと間違っているとは思いますが、・・
王:ああ、リンシー、ぜひ、かしこいお前の答えが聞きたい。
リンシー:では、申し上げます。水、ではないかと。
王:水?さて、そのこころは?
リンシー:水は氷になったり、雨や、雪や、雲になったりします。でも、元はみな
  水なのではないでしょうか。
王:ああ、リンシー、さすがじゃ。素晴らしい、気に入った。
女王:では王様、リンシーを後継ぎにしてくだいますか?
王:まあ、待ちなさい、まだシャインの答えをきいとらん。シャイン、どうだ。
  お前は何か考えついたか? なければ、リンシーに決まってしまうが。
シャイン王子
シャイン:それなら、それで結構です。
リンシー:とんでもありません、兄上こそ王にふさわしい方、わたくしなど
  及びもつきません。
女王:リンシー、お前は欲がない子ねえ。
王:シャイン、どうじゃ、なにも考えつかんのか。
<シャイン王子、突然、泣きだしました。何があったのでしょう?>

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シャインの涙 [ポンポン王国]

子ポポ:シャイン王子、どうしちゃったのかなあ?
アダモ:しーっ!
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ハール王:(何度もうなづいて)そうか、そうか、わかってくれたんだね。思い出したんだね。
  わしはうれしい。さあ、みんな、シャインの答えを聞いてやってくれ。
シャイン王子
シャイン:答えは月です。お月さまです。父が、いや、王様が、母と三人でお月見したときに
  教えてくれたことです。毎日、月は形を変える。満月から、半月へ、そして三日月へ。
  そしてまた半月になって、満月になる。でも、実はいつも月は同じで、2匹のウサギが
 モチをついているのだ、と。
王:そうだ、なつかしいな。よく思い出してくれたシャイン。
  わしは、母を亡くして悲しんでいるお前の気持ちを察せずに、さっさと結婚しちまった。
  すまなかった、許せ。
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女王:でも王様。これじゃ、この謎、リンシーには不公平ですわ。私たちにわかるはずも
  ありませんもの。
王:すまん。わしはシャインが思い出してくれるかどうか知りたかっただけなのだ。
  あの楽しかった思い出を。国は平和が何よりじゃ。争っておさまるものではない。
シャイン:2匹のウサギは私とリンシーです。父上、二人で協力して国を治めます。
王:うん、よく言った。それでこそ王子。リンシー、どうじゃな。
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リンシー:兄上に協力させていただけるとは、これ以上うれしいことはありません、王様。 
王:うれしいぞ、リンシー。ああ、病気も治ってしまいそうなくらいうれしいぞ。
  お妃、どうじゃな、こんなうれしいことはあるまい。
女王:はい、王様にはまいりましたわ。私の考えが狭かったようですね。
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子ポポ:やったね、アダモおじさん。
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アダモ:ああ、感動しちゃったよ。家族っていいもんだな。(クスン)
  子ポポ、オレたちも旅を続けなきゃな。お前の母さんを探しにな。
子ポポ:そうだね。そうだ、ハレルヤ、ハレルヤだよ、アダモおじさん。
おだも:ああ、そうだ。感謝しなきゃな。ハレルヤ、ハレルヤ、そしてアーメン。
  そうだ、王様、私のなぞなぞの答えを聞いてくれませんか。
王:おや、なんでしょう。ぜひ、聞かせてください。
アダモ:私の答えは、夢、ですよ。毎晩、見る夢は違いますが、皆、夢のまた夢。
  現実ではありません。みな夢であることには変わりはないのです。
王:あなた、詩人ですね。ステキな答えです。
<二人はまた旅に出ます。ポンポン王国、さようなら!!>

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