猫バー [猫村]
<やぐらの前にて>
猫バー:わしが猫バーじゃ。断っておくが、ババネコでも、ネコババでもない
からな。
アダモ:猫ばあさん、ですね。
猫バー:ネコばあさんじゃないぞ。猫バー。猫バーでいいのじゃ。
アダモ:妙にこだわるんだね。どっちでもいいと思うけど。
猫バー:そうはいかん。かみの毛を見てもわかるとおり、わしはライオンでは
ない。
子ポポ:そうだね。でもすごい髪の毛だね。
猫バー:おや、お若いのありがとよ。もう何十年生きとるのか自分でも
わからんのじゃ。だが、おかげで不思議な力を与えられた。
このたび、お救いさんを頼んだのもわしだし、お前さん方が、
何しにこの村へやってきたのかもわかっておる。
子ポポ:すごいね、神様みたい。
猫バー:バカ言うな。もったいない。わしはただの年より猫じゃ。ただ、
長生きしたおかげで、神様から知恵を授かったのじゃ。
子ポポ:猫バー、私たちがここへ来たのはね、
猫バー:待て、みなまで言うな。わかっておる。お母さんを探しに来たん
じゃろ? つまり、ポポさんのことじゃな。村のお救いさんじゃ。
アダモ:じゃ、やっぱりそうなんですね。で、どこにいるんです。呼んできて
もらえませんかね?
親子の対面ってのを、ぜひ、お願いしたいんですがね。
猫バー:それがナ・・
アダモ:それがなあって、まさかどっか行っちゃったんじゃないでしょね?
猫バー:それがな・・そのまさかなんじゃ。
こぽぽ:ええっー!
アダモ:でもお救いさんとか言って。いるんじゃないんですか?ダメですよ、
隠したって。
猫バー:隠しやせん。そうじゃ、お救いさんとは、お前さんのお母さんの
ことじゃ。あの方のおかげでこの村は救われたんじゃ。
この村がききんと、はやり病で滅びかけていたのを救ってくれたん
じゃよ。
アダモ:じゃ、ポポさんは、いったい、今どこにいるんです?
猫バー:あっちじゃ。(やぐらの先の空をさす)
子ポポ:あっちって、あのてっぺんの?空しか見えないけど、猫バーさん。
猫バー:そうじゃ。空じゃ。
子ポポ:えーっ!?
アダモ:まさか、死んじゃって…
猫バー:死んではおらん。生きとるが、・・・
アダモ:空の上じゃ天国ってことでしょ! そりゃ死んじゃったってことで
しょうよ。
猫バー:死んではおらんのじゃ。
アダモ:もうわけわからんですよ。いったいどういうことなんですか!?
<子ポポはもう大声で泣きだしました?>
ーうええーっん、うええーっん、うええーっん ・・・
コメント 0